身延山ロープウェイ

身延山の植物たち

久遠寺やロープウェイがある身延山の南東麓(身延町側)は、狩猟が禁じられている鳥獣保護区なので、ニホンザルやイノシシ・ニホンジカをはじめ、ブッポウソウやコノハズク等の鳥類、更には、国の特別天然記念物であるニホンカモシカ・ニホンヤマネと言った希少動物の宝庫となっています。

シダレザクラ

シダレザクラ Prunus spachiana

バラ科サクラ属に属す植物で別名はイトザクラ(糸桜)。一般的なソメイヨシノ等とは異なり、枝ぶりが細く垂れ下がっています。その為、「枝が垂れている桜」と言う事で、「シダレザクラ」(枝垂桜)と呼ばれています。
身延山のシダレザクラは有名で、「全国しだれ桜10選」にも選ばれています。例年3月下旬から4月中旬にかけて、久遠寺境内の樹齢400年を超える古木を筆頭に、山内各所至る所で咲き乱れ、それは見事なものです。(左写真は、久遠寺境内、報恩閣前のシダレザクラ)

ナンテン

ナンテン Nandina domestica

キンポウゲ目メギ科ナンテン属に属す日本・中国原産の常緑低木で、身延は『甲州盆唄』にも歌われているナンテンの特産地。高さは大きいものでは2mにもなり、赤い実が特徴。
葉は赤飯等の飾りに、実は南天実(なんてんじつ)という生薬で咳止めの薬として用いられ、身延でも、南天のど飴や南天ワイン等の特産品として販売されています。
また「ナンテン」と言う響きが「難を転ずる」に通じる事から、縁起の良い木とされています。

カタクリ

カタクリ Erythronium japonicum

ユリ科カタクリ属に属す多年草。比較的日光の差す落葉広葉樹林の林床に群生し、身延山山頂でも北側展望台を中心に、4月下旬から5月中旬にかけて、可憐な花を咲かせます。
花の色は薄紫・桃色・黄色で、鱗茎から抽出した澱粉を原料に、片栗粉が作られます。
(左写真は、身延山山頂・北側展望台で撮影したもの)

ニリンソウ

ニリンソウ Anemone flaccida

キンポウゲ科イチリンソウ属に属す多年草。主に湿潤な山地の林床や周辺部に生育し、春山を代表する花の一つです。身延山山頂でも、4月下旬から5月中旬にかけて、白い五弁の可憐な花を咲かせます。
根茎は「地烏(じう)」と呼ばれ、漢方薬の原料となります。尚、若葉は山菜として食用となりますが、猛毒のトリカブトに似ており、注意が必要です。
(左写真は、身延山山頂で撮影したもの)

ムラサキケマン

ムラサキケマン Corydalis incisa

ケマンソウ科に属し、春先、日陰のやや湿った所に生育する越年草。ケシ科の仲間で、種類によっては有毒なアルカロイドを含み、薬の原料として利用される事もあります。
ムラサキケマン(紫華鬘)は、別名「ヤブケマン(藪華鬘)」共呼ばれ、和名の由来となった華鬘とは、仏間の欄間等の装飾具の事です。
(左写真は、身延山山頂で撮影したもの)

シバザクラ

シバザクラ Phlox subulata L

北米原産のハナシノブ科フロックス属に属す多年草。別名、「ハナツメクサ(花詰草・花爪草)」共呼ばれ、身延山山頂でも、4月下旬から5月中旬にかけて、ピンク系の五弁の可憐な花を咲かせます。
「サクラ」と呼ばれるものの、「シバザクラ(芝桜)」の名の通り、芝の様に地面を這う様に繁殖し、寒暑・乾燥地では、芝生代わりに植えられている事もあります。
(左写真は、身延山山頂で撮影したもの)

ツルキンバイ

ツルキンバイ Potentilla yokusaiana

バラ科キジムシロ属に属し、関東以南の本州・四国・九州の山地の落葉樹林下に生育する多年草。草の丈は伸びても人間の足首程で、「ツルキンバイ(蔓金梅)」の名の通り、蔓状の枝茎が横へと広がり、黄色い五弁の花と、鋸刃型の葉が特徴です。
身延山山頂でも、4月下旬から6月中旬にかけて開花します。
(左写真は、身延山山頂・北側展望台で撮影したもの)

イワタバコ

イワタバコ Conandron ramondioides

ゴマノハグサ目イワタバコ科に属す多年草。日本では本州・四国・九州・南西諸島に分布しており、谷間の湿った崖や水の滴る岩壁に着生しています。葉は紫色をしており、垂れ下がって生えます。
葉身は6~15cm、花茎は10~20cm、花冠径は1~1.5cm。和名の「イワタバコ(岩煙草)」は、葉がタバコに似ている為ですが、タバコの原料とはならず、若葉が山菜として食されます。(左写真は、身延山山麓で撮影したもの)

ミツマタ

ミツマタ Edgeworthia chrysantha Lindl.

ジンチョウゲ科ミツマタ属に属す落葉低木。和名の「三椏(みつまた)」は、枝が必ず三つに分かれる事に由来し、身延山でも、ロープウェイ沿線や山頂でシダレザクラの開花と時を同じくして黄色い花を咲かせます。
三椏は楮(コウゾ)と共に和紙の原料として古くから用いられ、大蔵永常著『紙漉必要』にも、「常陸、駿河、甲斐の辺りにて専(もっぱ)ら作りて漉(す)き出(いで)せり」と記されています。その伝統は引き継がれ、身延町西嶋地区産の「西嶋和紙」は山梨を代表する地場産品の一つに数えられています。(左写真は、身延山山頂で撮影したもの)

シャガ

シャガ Iris japonica

アヤメ科の多年草で、学名の「Iris japonica」から日本原産と思われがちですが、古い時代に大陸から入ってきた外来品種で、漢字では、「著莪」・「射干」・「胡蝶花」等と書きます。
短い根茎が横に這い、森林周辺の木陰等、湿潤な場所に群落を形成します。草丈は50~60cm。白みがかった紫色のアヤメに似た可憐な花で、花弁に濃い紫と黄色の模様があります。
身延山山頂では、5月下旬から6月上旬にかけて開花します。(右写真は、身延山山頂で撮影したもの)

ムラサキツユクサ

ムラサキツユクサ Tradescantia reflexa

ツユクサ科ムラサキツユクサ(トラデスカンティア)属に属す北米原産の観賞植物。属名の「トラデスカンティア」は、17世紀の英国王・チャールズ1世のお抱え庭師、トラデスカントさんの名前に因んで命名されました。
和名「紫露草」の通り花の色は紫色で、高さは約30cm。例年6月下旬から7月中旬にかけて、身延山山頂でも小振りな花を咲かせます。また高さが約1mで、大振り且つ、ピンク、紫、青など多彩な色の花を咲かせる種は「オオムラサキツユクサ(大紫露草)」と呼ばれています。(左写真は、身延山山頂で撮影したもの)

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